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ドイツのコレペティ活用法

 

歌劇場でのオペラの専門職コレペティの紹介です。ドイツ語でKorrepetitor、日本語では適当な訳がなく、ドイツ語のそれをカタカナ読みした、コレペティトール、コレペティートル、コレペティトゥア等色々あります。実際の発音は「コレペティートア」(ティーにアクセント)が近いかなと思います。

 

略してコレペティ。略すとコーチングの意味にも使えるので、「彼女はコレペティだね」とか「今度コレペティして~」みたいな使い方ができます。

 

ピアノを弾きながら歌手のコーチングをする仕事、という知識はあったのですが、実際にドイツの現場を目の当たりにしてみると、随分と印象がかわりました。

 

その秘密は言葉の語源にあります。

 Ko(r) 一緒に

 repeti(eren) 繰り返し練習する

 -tor ~人

をくっ付けたのがKorrepetitor、つまり「一緒に何回も何回も練習する人」という意味で、まさにその通りのことが劇場で行われていました。

 

 

オペラの楽譜は複雑です。沢山の人が同時に歌ったり、掛け合いで歌ったり、音楽のスタイルも様々な要素が混在していて、オーケストラとの絡みも含めて譜面を読んでいくのは、なかなかにややこしい。

 

劇場所属の歌手は、好きなだけコレペティを受けられるというのがあるので、コレペティに譜読を一任しています。

 

そもそも譜読みをいつ開始するのかは、コレペティのリーダーが(歌手の予定を見て)決めます。歌手は、決められた日時に練習室に入り、コレペティと一緒に譜読み開始。自分である程度読んでくる人ももちろんいますが、その場で初めて楽譜を開ける人もいます。

 

ピアノを弾くのが苦手であれば、苦労してピアノ弾いて音取するより弾いてもらうほうが正確で速い、というわけですね。(たぶん) ちょい役の人で数回、主役となると少なくとも10回以上やって、指揮者音楽練習になります。

 

最初の段階から、テンポのこと、音程の取り方、やわらかく、激しく、などの表情、練習のコツ、などもパパっと指示があるので効率が良いです。

 

私はその様子を何度も見ることができて、コレペティって便利~と肌で感じました。音取から暗譜まで、ずっと近くで寄り添っている温かさがあります。

 

※ コレペティのリーダー、ヨヴァン・ミティッチ氏。現場をまとめあげるカリスマがありました。

※ カペルマイスター兼コレペティ、パヴェル・ポプラウスキー氏。ワーグナーもシュトラウスもスラスラ弾けちゃうスーパーマンでした。


 

実際に、2019年にマクデブルク歌劇場で働かせていただいたとき、コレペティ練も担当しました。その時の経験をそのまま持ち帰っております。

 

写真は、私がマクデブルクで最後に担当したプロダクション、ヤナーチェクのオペラ「カーチャ・カバノヴァ」のキャスト及びスタッフ決定の張り出し。チェコ語の発音を必死に勉強した思い出たっぷりです。

 

「この曲どうしよう」と少しでも思われた方には、コレペティを活用してみるのはいかがでしょうか。全く譜面を開けてなくてもかまいません。どんな段階でもOKです。お役に立てることと思います。何度も受けていただける価格設定にしておりますので、お気軽にお問合せください。

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コメント: 2
  • #1

    奏でる惑星 (月曜日, 19 4月 2021 06:55)

    私も譜読み、苦手なんですよね~。合唱は楽譜通りに歌わなければならないから大変です。音取り用音源用意してくれない団に入ったら、結構しんどいですね。ウラ拍とか、変拍子とか、学生時代に基礎をきっちりやって来なかったツケが…。一方で歌謡曲は多少ズラしたりなどしてアレンジするほうが味があったりするでしょ。JAZZもそうですかね。絶対そっちのほうが向いてると自分では思っていたりするのです。コレペティのお世話になりたい気もしますが、「だいたいのことなら私が教えてあげるやん」と妻に言われそうで。

  • #2

    Maki (月曜日, 19 4月 2021 09:44)

    奏でる惑星様
    おっしゃる通り、合唱って、最も楽譜通り率高いです。揃ってこその美学。

    歌謡曲やジャズは、その人だけの揺らし方とかに味があったりします。逆にそれは教えられないんですよね。

    奥様との音楽の時間を何より大切にされてくださいませ!
    どうしてもの時はご遠慮なく(╹◡╹)